日本に住んでいて、外国人が「お店の人と会話が成り立たなくて困ってる」「案内表示やお知らせが読めずにいる」というような場面に出くわしたことはありませんか?
私はそういう時、「英語が話せない自分では役に立てない」と、誰か英語の出来る人の手助けがありますようにと思いながら通り過ぎる事が多くありました。
でも実は、外国人と話すのは日本語でも良いらしいんです!
「え、日本語で通じるの?」
そこを詳しく知るために、今回は豊橋まちゼミの『外国人と「やさしい日本語」で話そう』という講座を受講してきました。
なぜ日本語でも大丈夫?
講師はあきえ日本語教室のあきえ先生。
まず、英語をしゃべれなくても外国人と話せるというのは何故なのかを教わりました。
豊橋市に住んでいる外国人の約7割はブラジル、フィリピン、中国から来ています。
この3カ国の中で英語が公用語なのはフィリピンのみ。
実は、豊橋市に住んでいる外国人で英語圏出身の人は思いのほか少ないんです!
日本で外国人と話すとき、一番伝わりやすいのは日本語なのだそう!
受講のきっかけの話
つい最近、私自身が参加したワークショップにブラジル出身の女性も参加し、同じグループになるという出来事がありました。
彼女は熟語が羅列された日本語のプリントをスマートフォンの翻訳アプリを使って読もうと試みていましたが、どうも上手くいかない様子。ワークショップの進行についていけずに困っていました。
同じグループの私たちも何とかしようと四苦八苦。日本語はもちろん、英語で話してみても、さっぱり伝わらなかったんです。見かねた主催者側の一人がマンツーマンで対応してくれたのですが、二人の会話は日本語。なんで英語でも伝わらなかったのだろう?とその時から不思議に思っていました。
あきえ先生の話を聞いて、その時の何故?が解決!
ブラジル出身の彼女には英語ではなく日本語が必要だったんですね。
でもただの日本語ではなく、「やさしい日本語」が適切なんだそう!
「やさしい」日本語?
やさしい日本語とは「優しい」「易しい」日本語。
①はっきり言う②さいごまで言う③みじかく言う、という「はさみの法則」を心がけると良いのだそうです。
さっそくプリントで普段使っている日本語をやさしい日本語に言い換える練習をしました。
私は自分の5歳の子どもに伝えるにはどう言うかイメージしながら解いてみました。けれど、これがなかなか難しい。普段何気なく使っている熟語、カタカナ語も、意味をちゃんと理解していないと言い換える言葉が出てきません。
例えば、「来月は、授業参観があります。」という文章をやさしい日本語にすると「来月は、お父さん、お母さんが授業を見ます。」となります。
どの単語は知っていてどれは知らないというのは相手次第。使った単語が伝わなかった場合は、他の言葉にまた言い換えれば良い。全部の単語を簡単にするのはダメ。
というような、言い換えるコツをいくつか教えて貰いました。
また、ワークショップのブラジル人も使っていた翻訳アプリ・ツール。私もたまにお世話になるのですが、これで本当にあってるの?と心配になるような翻訳をされた事がありませんか?あきえ先生が翻訳が正しくされているか確認できるアプリを紹介してくれたので実際やってみました。四字熟語、カタカナ語、方言など入力するとおかしな訳に。翻訳アプリに正しく訳してもらう上でもやさしい日本語は役に立ちます。短い文、分かりやすい言い回しや単語に変えることで正しく訳すことができました。
ワークを終えて談笑していると、豊橋在住で、お子さんを豊橋の保育園に通わせているイギリス人ママがやってきました。さっそくやさしい日本語で話しかけようとしましたが、思うように言葉が出ません。なんとか言いたいことを言いきりましたが伝わらず…。お互い困っていると、あきえ先生が何回も言い方を変えて、私の言いたかったことを伝えてくれました。日本人相手であればニュアンスでなんとなく伝わる部分が伝わらない。これは何回も場数を踏んで、慣れていく必要があるなと痛感。
イギリス人ママさんは保育園で日常的に困った!を体験していると話します。
服装、決まりごと、日本の風習、おたより、災害情報への対応…。どれも自国とは違う。どれも難しい。そして同じ保育園のママさんたちはみんな忙しそうで手伝ってと言いにくいんだそう。
市役所などのきちんとした書類だけでなく、身の回りのすごく近いところにも難しい日本語が溢れていることに気付かされました。難しい日本語の解読に苦労すると同時に、手に入らない、知らないまま通り過きている情報がたくさんありそうです。そして助けてほしいと言いたいけど言えないでいる外国人がいるんだという事を知りました。
やさしい日本語で話しかけてみよう!
私たちが気づいてないだけで、困っていると言えないでいる外国人は実はまわりにたくさんいます。
ワークショップの時のブラジル人に必要だったのは英語ではなくやさしい日本語でした。
英語が出来ない私でも、声をかける少しの勇気とやさしい日本語で助けてあげられる!
やさしい日本語が広まれば、豊橋市は外国人にとっても私たちにとっても、もっとずっと住みやすいまちになるのではと感じました。
あきよ先生は言います。
「たくさんの人にやさしい日本語を意識してもらいたい。そして困っている外国人を助けてあげてほしい。是非、あなたもはじめてみてください。」